ぼとるつぼ
君の全全全知からエムラ
多くの作品には、テーマがあります。
あるいはテーマさえひとつあれば、作品ができます。
(ただし作成に要する手間や時間は鑑みないものとする)
自分の場合、今までテーマなしに完成にこぎつけた作品が無い気さえします。
テーマの選び方
好きなもの、興味深いもの、人生の軸になるもの、なんでもいいので強く思えるものにすれば良い気もします。
いやむしろ、本当に何でもよく、適当に辞書なりなんなりで見つけた単語ですら良いです。
実際「捨てるしかない」は最初にゲームタイトルだけがあり、そこから戦闘システムも世界観もストーリーも全部「生えて」きました。
何の思い入れもない単語だからこそ、そこに自分の趣味趣向思想信条が乗っていき、かえって自分の形にしたいものに近づくのかも知れません。
ただし、形にしにくいテーマと言うものもあります。
自分は絵を書くのが不得意で、小説のようなものを書いた経験も小学校の宿題ぐらいでしかないので、漫画や小説向けの、つまりはゲームに向かないテーマでは作り上げるのが難しいように感じています。
すごい南よりもずっと前から構想しているお話が一つあるのですが、これがまた小説的なお話になっており、どうやってゲームに落とし込むか十年近く悩んでは投げ悩んでは投げを繰り返しているのです。
他にも「面白いとは思うけど自分の力では形にできない」タイプのテーマから生まれた脳内作品が無数に腐っており、はがゆく思っています。
もしこれを読んでいる方が学生であれば、必要な技術を身につける時間がたっぷりとあると思うので、そこまで気にしなくても良いかも知れません。
そうでない場合、ある程度の選定が必要になると思います。
テーマパークに来たみたいだぜ
テーマと言う軸があると、作品の色々な要素を作りやすくなります。
ゲームのジャンルはどうするべきか、戦闘やらなんやらのシステムはどうするべきか、音楽の方向性はどうするか、画面は明るいか暗いか賑やかか寂しいか、すべてテーマがあると発想しやすいです。
「捨てるしかない」から「道具もスキルも仲間も捨てられる」「敵を切り捨てていく殺伐とした雰囲気」「淡々とした、勇壮さと無縁な楽曲」「廃棄物の集まる土地」「捨てられた神ヒルコをモチーフにしたムシシシ」「お前は捨てられる側ではない、捨てる側だ」「もちろん勝てればの話だが」と重要な要素がポンポン決まっていきます。
こうして出来上がった世界は、ひとつの「捨てるしかない」と言う言葉から派生しているだけあって、それぞれが調和しとても風情のあるものになりました(と自分では思っています)
テーマから生まれたいくつもの要素が積み重なってできたゲーム、まさしくテーマパークと呼ぶのが相応しい様相でしょう。
試しに一個考えてみよう
さて、折角なので一個テーマを決めてゲームを考えてみましょう。
さっきTwitterを開いて最初に見えた単語が「カメラ」だったので、ここから考えていきます。
時間あるならみなさんも考えてみてください。
カメラ
↓
カメラでできる事は、撮影
↓
撮影された物がどうにかなったりする能力や魔法はたまに見る
↓
ここは特に能力の無いカメラにしよう
↓
職業としてカメラを使う人にする?
↓
そう言うの関係なしに世界中をカメラで収める感じにしよう
↓
世界そのものをカメラに収められた写真の中にしよう
↓
写真があり、それをどこから撮ったか考える
↓
世界を歩き、かつて撮られた10の写真を誰がどこで撮ったか探し出すゲーム
↓
ひとつの写真の景色を見つけるたびに、何者かがそれを撮った時の回想が流れる
↓
一度撮った写真の場所にはワープできるようにしよう
↓
すべての場所を写真に撮り終えるとなにかある、ゲームクリア
↓
無限に写真が撮れるとメモリを圧迫するので、上限を越えないように捨てる必要があるはず
↓
それなら、最後の最後に今まで撮った10の写真を捨てたら特殊エンディングなんてどうだろう
↓
さっきは写真に能力が無いって言ったけど、危険への対処方法も欲しいし、撮ったものからは攻撃されないとかは欲しい
↓
写真に撮ったものを持ち運べるようにして、ついでに道具の運搬とかもさせてもいいかも
↓
敵は野生動物よりも、写真と言う思い出を食うもの、例えばシロアリなんかにしたら良いかも
まとめ
貴方はかつて、10の写真を見ました。
貴方の目的は、それと同じ風景を自らのカメラに収める事です。
世界はやがて、白き怪物に包まれ滅ぶ運命にあります。
それまでに、貴方が今まで見た中で最も尊い10の風景をその手に収めなければなりません。
10の写真を捨てた時、貴方はようやく過去と決別できます。
その写真を撮ったのは、かつて一番大切だった人。
今まで出会った人達は、かつては存在し、今は写真の中だけに存在する人達。
ようやく前を向いた貴方は友の結婚式に顔を出し、今までに見たことの無い笑顔を目撃するのでした。
10分ぐらいで考えたにしてはうまく出来たと思います。
なんと言うか3Dのゲーム向けに感じるので自分自身で作れそうな気はしませんが、まあいいでしょう。
さて、もしこれを読んでくれている人が同じテーマで考えたとしても、また違ったお話を作り上げたのではないかと思います。
そうです、テーマが同じだったとしても出来上がるのは別のものなのです。
こう言う所がものづくりの面白いところだと思っています。